外国が欲しがっていることがわかっていても、遅々として進まない大学や研究機関の情報流出防止策。国の安全にも関わるのだが――。「北京航空航天大学」――。二〇〇八年初め、中国から日本政府に届いた先端技術関連の国際共同研究の提案文書を見たある安全保障問題の専門家の目は、文書の中に何度も出てくる大学の名に釘付けになった。文書には約百件もの共同研究候補のリストがつけられており、それぞれの研究項目には担当の大学・研究機関の名称も記載されていた。中でも中国が軍民一体で進めるロケット・ミサイル開発の一大拠点である北京航空航天大学は、実に七回も登場する突出ぶりだった。
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