中国の大晦日は賑やかだとは聞いていたが、これほどとは思っていなかった。上海市内で打ち上げられた数万発の花火の連続音と、道路を占拠した数百万発の爆竹が躍る音は、まさに「驚天動地」であった。日本や欧米と異なり、中華圏は旧暦を採用しているため、新年を旧正月で祝う。二〇〇九年は一月二十五日が旧暦の大晦日で、二十六日が元旦(春節)にあたる。 目抜き通りの延安路を遠くに見下ろせるホテルに陣取って、大晦日の夜景を堪能した。数日前から景気づけの花火が散発的に打ち上げられていたが、ほんの序曲に過ぎない。大晦日には夕方から花火のショーが徐々にはじまり、午後十一時からの一時間にクライマックスを迎える。夜空は硝煙で曇り、破裂音で会話もできないほどだ。この時期になると花火・爆竹の特需を当て込んで、市内各地に臨時の花火屋がオープンする。爆竹は一千発単位で売られており、値段は四十五元(約六百円)。花火や爆竹で死傷者が続出するため、楽しめる場所が限定されてきたとはいえ、当局もこの大晦日の狂騒には目をつぶる。
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