強欲資本主義の面の皮

執筆者:名越健郎 2009年5月号
タグ: 大統領 中国 日本
エリア: 北米

 金融危機の泥沼が続く米国で、巨額の公的支援を受けて再建中の米保険最大手、AIGの幹部が、莫大なボーナスをもらっていたことが国民の怒りを買っている。AIGは税金から1730億ドルもの公的資金を注入され、破綻を免れているのに、3月に幹部社員約400人に支払われた賞与は計1億6500万ドルで、一人平均約4000万円。 グラスリー米上院議員(共和党)は、「AIGの幹部は日本人の例にならい、米国民の前でお辞儀をして謝罪し、辞任するか自殺したらどうか」と述べて波紋を呼んだ。 AIG側は「経営再建に有能な人材を集めるための措置」と説明するが、下院は賞与の9割納税を義務付ける法案を可決するなど、議会との対立がヒートアップしている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 拓殖大学海外事情研究所客員教授。1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所客員教授。国際教養大学特任教授、拓殖大学特任教授を経て、2024年から現職。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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