クライスラーを託された男マルキオンネ

壁には一言「コンペティション(競争)」。フィアットを蘇らせた企業再生のプロは、今度はどんな手腕を見せるのか。[ローマ発]セルジオ・マルキオンネが二〇〇三年五月に取締役に就任したとき、イタリアの自動車最大手フィアットは経営危機に瀕していた。翌年六月、過去三年間で五人目のCEO(最高経営責任者)となった彼が自らに課したのは、傘下にフェラーリやマセラティ、アルファロメオにランチアという高級車ブランドを持つ老舗メーカーに真の国際競争力を持たせることだった。 それからフィアットが黒字経営に転じるまで一年とかからなかった。〇八年の売り上げは七百八十億ドル(約七兆八千億円)、利益も二十二億ドル(約二千二百億円)。五・七%という営業利益率は世界の業界大手の中でもトップクラスだ。マルキオンネはスターになった。そして今、彼はさらに大きな注目を集めている。米クライスラーとフィアットの全面提携により、経営破綻したクライスラー再生の鍵を握ったためだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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