行き先のない旅 (76)

神父か、はたまたカサノヴァか イタリア首相に見る「お国柄」

「蓼食う虫も好き好き」というが、欧州各国のリーダーの顔ぶれを見ると、お国柄を反映して人気のある政治家のタイプがあまりにも違うことに驚かされる。その中で、何と言っても国際社会きってのお騒がせ男、シルヴィオ・ベルルスコーニ伊首相の存在は、外国人にとっては、ミステリー以外の何ものでもない。 ベルルスコーニ首相は、人気サッカーチームACミランのオーナーであり、イタリアのメディアの七割をコントロールするともいわれるメディア王で大富豪。私がミラノに住んでいた一九九四年に政界入りしたが、その時にはあまり長続きするとは思われていなかった。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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