次の20年の20人 ウィーラチャイ・ウィラメタクーン

執筆者:樋泉克夫 2010年4月号
タグ: タイ 中国
エリア: アジア

 タイのウィーラチャイ・ウィラメタクーン(李天文)首相府大臣が昨年十一月に明らかにした国内鉄道路線の整備・拡充計画は、中国の昆明を基点にヴェトナム、カンボジア、タイ、マレーシアを経てシンガポールを繋ごうと中国が推進する国際鉄道計画に呼応したものといえそうだ。 ウィーラチャイの父親のスチャイ(李景河)はタイの対中ビジネスの大立者で北京との太いパイプで知られ、国内ではスラユット元首相に近い。同元首相の後ろ盾はプミポン国王の信任篤い国軍のゴッドファーザー、プレム枢密院議長だ。 また義父はタイ最大の多国籍企業で対中投資に特化するCP集団総帥のタニン(謝国民)で、兄嫁の父親はタイ王室にも繋がる華人名門でファーマーズ銀行を率いるバンヨン(伍捷樸)。加えて彼自身は、かつてタクシン政権を支えた巨大与党のタイ愛国党元幹部で、タクシン・ブレーンとは昵懇の間柄でもある。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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