来年度(2011年度)の予算編成作業が混乱を極めている。7月27日に閣議決定された概算要求基準が、巨大な「社会保障関係費」とその自然増を聖域とする一方、その他の予算を1割削るという前代未聞の編成方針をとったためである。この「強い社会保障」にこだわった無理な編成方針と、民主党政権の悲惨なほどに低い政策遂行能力を考え合わせると、年末までに2011年度予算が組み終わらないという懸念が、現実のものになる可能性がある。
今年度と変わらぬ借金漬け
既に、今年度(2010年度)予算自体、信じがたい内容であったことは周知の通りである。すなわち、子ども手当などのマニフェスト実現のために、過去最大の規模に膨れ上がった一般会計92.3兆円のうち、税収(租税及び印紙収入)で財源を調達できた分はわずか37.4兆円に過ぎず、国債発行による借金(公債金)が44.3兆円にも上った。しかも、埋蔵金の取り崩しによる「その他収入」も、恒常的に存在する収入ではなく、一種の借金に他ならないことを考えれば、実質的に55兆円近い借金を行なって組んだ予算であったと言えよう(図表・歳入総額の内訳)。
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