経済の頭で考えたこと (27)

郵政民営化を「非感情的」に考える

執筆者:田中直毅 2010年9月7日
タグ: 日本
エリア: アジア
今年3月、郵政民営化委員会の終了後、記者会見する田中氏(C)時事
今年3月、郵政民営化委員会の終了後、記者会見する田中氏(C)時事

 今回は郵政民営化という、2005年の「郵政選挙」によって国民に選びとられた主題についての自分の考え方を述べたい。そしてこのことは、郵政民営化委員会の委員長を06年以来引き受けている自分の立場を改めて明らかにすることでもある。  郵政民営化委員会は、現行法の郵政民営化関連法に基づいて設置された。委員会の役割は、①国民利便の向上②民間事業体としての郵政諸事業の自立と、株式売却が可能となる業容の確立③旧官業としての郵便、郵貯、簡保という3事業体が、他の民間企業との間において競争条件を歪めることなく、民間経済秩序の中にいわば融解すること、という3つの要請がともに満たされるべく、新規業務についての許認可の基準を明らかにすることであった。こうした判定業務を行なうにあたっての調査審議の中で、定期的に民営化の実情について意見を述べることも役回りとして法定されていた。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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