尖閣諸島の漁船問題は日中の根比べ

執筆者:野嶋剛 2010年9月13日

尖閣諸島の漁船衝突事件が熱を帯びてきました。思いのほか、中国の強い姿勢に、日本の外交当局からは「おいおい、どうしちゃったんだよ」という驚きが聞こえてきています。

いろいろ論点はあるのですが、当面の注目は日本政府が逮捕された船長の身柄をどう処遇するかだと思います。

中国政府は、赴任したての丹羽大使を5回も呼び出し、強い抗議を行いました。そこでは「情勢判断を誤るな」「政治的決断を」というメッセージを日本に送ってきました。要するに、法律を曲げてでも早急に船長を釈放しろと言っているのです。

船長は送検されており、起訴処分が決まるまで、最大であと20日間近く拘留される見通しです。しかし、中国のメディアは連日、「船長の拘留は今日も続く」と推移を詳細に伝えており、このままではネットなどで燃え盛っている反日世論が抑えられなくなりますよ、と中国は警告しているわけです。同時に、中国政府の世論向けのパフォーマンスの面もあります。海洋権益のアピールという意識もあるでしょう。

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執筆者プロフィール
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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