選挙の行方を静観する中国は、この男の動向に神経を尖らせている。
[台北発]二月五日は台湾で最も大切な年中行事、春節(旧正月)だった。爆竹が鳴り響き、晴れやかな雰囲気の漂うこの時期こそと、各候補は休みなしに各地を駆け回った。台湾の総統選挙は三月十八日の投票に向けて残すところ一カ月。いよいよ終盤戦だ。
五候補が出馬しているが、実際には与党国民党の連戦副総統、最大野党である民進党の陳水扁前台北市長、無所属の宋楚瑜前台湾省長の三候補による争いだ。各種世論調査によって差はあるが、二月初旬に三人の支持率は二〇%から二五%でほぼ横一線に並んだとみられる。この基礎票の上に、これから約三〇%の浮動票をどう取り込むかの勝負だ。当選ラインは得票率三五%から四〇%と予想される。

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