インテリジェンス・ナウ

ブッシュ「台湾防衛」発言の裏に何があったのか

執筆者:春名幹男 2001年5月号
エリア: 北米 アジア

「(台湾が中国から攻撃を受けた場合は)台湾の自衛を助けるために必要なことは何でもやる」 ブッシュ米大統領は四月二十五日、テレビインタビューでそう述べ、台湾防衛に異例の強い決意を表明した。 そして、五月一日ルイス・フリー米連邦捜査局(FBI)長官が突然辞任を発表し驚かせた。一週間のうちに起きた二つの予想外の出来事は一見無関係に見えるが、裏では「相互に関連している」と国際情報筋はみる。 アメリカの歴代政権は、台湾有事の際に軍事行動をとるかどうかをはっきりさせない「戦略的あいまい政策」をとってきた。ブッシュ発言はその政策からの大幅な逸脱である。「従来の政策の継続」と言い張るホワイトハウスの真の狙いはメディア操作にあった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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