激変する中央アジア「エネルギー地政学」

執筆者:五十嵐卓 2001年10月号

湾岸戦争以降、官・民をあげた米国の進出を背景に、一大ブームを迎えた中央アジア資源開発。その主要エネルギー輸送ルートはいま、“イスラムの海”の中に漂流を始めた――。 米、英がアフガニスタン空爆に踏み切る前々日の十月五日、グルジアのシェワルナゼ大統領はワシントンを急遽訪問し、ブッシュ大統領と会談した。シェワルナゼ大統領は軍事行動に際し空港提供や領空通過などの協力を申し出て、米国側の評価を得た。 ただし、かつてソ連外交を支えた老練政治家が支援を伝えるためだけにホワイトハウスを訪れるわけはない。エネルギー業界関係者は「訪米の真の目的はグルジアを通過するカスピ海からの原油パイプライン・プロジェクトへの米国の関心をつなぎ止める」ことにあったとみる。米同時多発テロは、湾岸戦争以降、米国の官民で盛り上がったカスピ海周辺など中央アジアのエネルギー開発ブームを一気に冷却化させかねない要素を持っているからだ。

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池内恵の中東通信

池内恵(いけうちさとし 東京大学教授)が、中東情勢とイスラーム教やその思想について日々少しずつ解説します。

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