議論白熱の一方で、「保身」と「理念」が先走り、繰り返されるのは抽象論ばかり。戦略なき自由化は行き詰まる。“改革される側”の当事者意識が重要なのは言うまでもないが――。 小泉純一郎首相のことを「NATO」と揶揄する者がいる。「ノー・アクション・トーク・オンリー」――。改革政権の首班のはずがこんな不名誉な渾名を与えられてしまった小泉氏だが、いまや腕撫す心地だろう。かねてよりの持論である郵政三事業改革が、まさにスタートしようとしているからだ。ヤマ場は次期通常国会。すでに二〇〇三年には国営郵政公社の発足が予定されている。総務省が、その公社の設置法案を提出することになっているのだ。郵政族議員たちの“結団式”、あるいは全銀協、経団連など利害得失絡み合う面々の提言も次第に数を増してきた。
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