趣味としてのスキューバダイビングは十年ほど前からだ。織田裕二・原田知世主演の「彼女が水着にきがえたら」という映画を見ただけで、お気楽にも始めたのだ。映画は若いトレジャーハンターと女性ダイバーのラブロマンス。いわゆるバブル期のホイチョイ物である。 北海道生まれの僕はそれまで、ダイビングどころか海水浴すら数えるくらいしか行ったことがなかった。ましてスキューバなど、ウニ取り漁師の特技ぐらいにしか認識していなかった。暗い北の海、おどろおどろしい装飾の魚、家の高さほどもあるコンブの森、苦しい呼吸のなか、家族のためにがんばるお父さん。「一人前になるまで十年はかかるべさ」。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン