先のカーター元米大統領のキューバ訪問では、七十五歳のカストロ国家評議会議長が自ら空港まで出迎えるなど異例の歓迎ぶりが報じられたが、会談で同議長がこれまでにないほど弱気な発言をしたことは知られていない。 会談は「友好的な雰囲気の中で率直に意見を表明し合う場」(キューバ政府筋)となったが、同行したロザリン・カーター夫人が一部マスコミに漏らしたところによると、カストロ議長は相変わらず社会主義体制の維持を声高に主張する一方、共産党幹部がどんどん若返り、考え方も新しくなっている点を挙げ、自分の体力、精神力の衰えを口にした。長時間の演説で大群集をわかせた過去の日々を懐しがっていたという。

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