「一年前から辞任を考えていた……」。滞在中のバンコクでマハティール首相はそう言った。突然の辞任表明に揺れるマレーシアの政治情勢を首相と親交の深いジャーナリストが報告する。[バンコク発]六月二十二日、マレーシアのマハティール首相(七六)は、自らが率いる与党「統一マレー国民組織」(UMNO)の年次総会を締めくくるスピーチで突然辞任を表明した。薄紫色のマレー服を着たマハティール首相は演壇で涙を流しながら二十一年間の政権に「終止符を打つ」と党員に語りかけた。党幹部や閣僚が詰め寄り、演説をさえぎり辞任撤回を口々に求めた。最前列でいつも通りメモをとりながらスピーチを聞いていた首相夫人も思わず棒立ちになった。
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