国際論壇レビュー

共和党有力者が唱える「イラク攻撃」への慎重論

執筆者:田中明彦 2002年10月号

 夏の間、アメリカのブッシュ大統領は長い休暇にはいっていたが、その間、アメリカのメディアはイラク攻撃をめぐる議論で埋めつくされた。先月まで本稿で紹介してきたようなやや単独主義的あるいは「新帝国主義」的な論調に対して、共和党のこれまでの伝統的主流ともみられる人物からの慎重論が生まれ、ゴシップ的な論調も含めて盛んな議論が行なわれた。 九月十二日のブッシュ大統領の国連演説がアメリカの国論に統一をもたらすかどうかは本稿執筆時には明らかでないが、これらの議論がブッシュ大統領の国連演説の背景にあることを理解しなければならない。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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