アメリカの神学者、ラインホルト・ニーバーが第二次世界大戦中に、田舎町の教会の礼拝で語ったと伝えられる「セレニティーの祈り」には、次のような一節がある。――神よ、変えることができないものを受け入れる平静さを、変えるべきものを変える勇気を、そしてそれらを識別する知恵を与えたまえ。 セレニティーの祈りについては、ニーバーがどのような願いを込めて行なったものなのかはっきりとしていない。ナチスドイツの非人間的妄動に対する戦いを説いたという人もいれば、単に戦場の兵士への加護を願ったものだとする人もいる。祈りが行なわれた時代と当時の世界状況を考えれば、こうした推測がなされるのも無理はない。
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