昨年十一月、ミス・ワールド・コンテストの開催をめぐりナイジェリアのイスラム教徒とキリスト教徒が衝突した事件は、日本でも大きく報じられたため、記憶している人も多いだろう。死者二百人以上という大惨事の直接の原因は宗教の違いだが、背景には部族などのエスニック対立や経済格差といった現代アフリカの特徴的な問題が横たわっている。 事件の発端はキリスト教徒が多い南部で発行される新聞が「ムハンマド(マホメット)も彼女ら(ビューティ・クイーンたち)の中から妻を選んだに違いない」と、イスラム教の開祖ムハンマドを冒涜するような記事を書いたことだった。これに怒ったイスラム教徒の一群が北部の町カドゥナで、この新聞の支局を焼き討ちしたことが引き金となり、暴力的な対立は首都アブジャにまで飛び火した。

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