横浜の南郊、我が家に近いJRの駅は、根岸線の終点である大船駅から二つ目である。六分か七分で着く。それなのに乗ると、早くもぐっすり眠っている女の子がいる。しかも朝である。電車通学の女子高校生らしいが、オカッパの髪を顔の両側にスダレのように垂らし、熟睡している。夜ごと入眠に苦労する私は、揺り起して眠るコツを聞きたい誘惑に駆られる。 山陽新幹線「ひかり」の運転士(三三)が居眠りしたのは午後三時三分に福山駅を出た数分後からで、三時二十一分に岡山駅に着くまで眠り、運転室に入ってきた車掌に起されてやっと目が覚めた。新幹線が脱線転覆すれば、阿鼻叫喚の地獄になったところだった。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン