すこし前、ある男性雑誌から万年筆についての取材を受けた。デジタル一辺倒のビジネスマンがどんな万年筆を使っているか覗きみるという趣向だ。取材に応じて持っている万年筆を並べてみて驚いた。全てもらい物だったのだ。IBMから講演料代わりにいただいた太くて黒いモンブラン、出版社から印税代わりにもらった書き味抜群金ペン堂のシェーファーなど、ご祝儀としていただいたものが多い。 ビル・ゲイツからもらった純プラチナ製モンブランは退職金の割増しだったのだろうか。あらためて価格を調べてみたら、なんと一万五千ドルもする代物だった。箱を捨ててしまったことが悔やまれる。家宝としてさっそく金庫に入れたことはいうまでもない。

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