フセインの穴倉

執筆者:名越健郎 2004年3月号
エリア: 中東

「お前は誰だ」「わたしはイラク共和国大統領だ。あなた達と交渉する用意がある」「ブッシュ大統領からよろしくとのことだった」 昨年12月13日、サダム・フセイン元イラク大統領がティクリート近郊の穴倉で拘束された際、米軍兵士と元大統領の間でこんなやりとりがあったとする米軍の発表は、あまりにできすぎているが、フセイン氏拘束で「悪の枢軸」や「テロ支援国」が追い詰められたことは確かだ。 イランは国際原子力機関(IAEA)の特別査察を受け入れ、リビアは大量破壊兵器の放棄を決め、北朝鮮も歩み寄り6カ国協議が2月25日に開催されることになった。ブッシュ政権の力の外交・軍事政策がポイントを稼いだ格好だ。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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