深層レポート 日本の政治 (53)

退いた福田、逃げた菅で嗤う自民 立ちすくむ民主

執筆者: 2004年6月号
タグ: 日本
エリア: アジア

 在任最長記録を更新中だった福田康夫官房長官が「政治不信を増幅させた。けじめをつけて職を辞したい」と、記者会見で辞任を表明したのはゴールデンウィーク気分が覚めやらぬ五月七日のことだった。 午前十時十分に始まった会見はいつも通り、淡々とした雰囲気で進んだ。閣議の説明、前日の年金改革関連法案をめぐる与党と民主党の修正合意に関するコメント……この日で在職千二百八十九日、会見の運びは手馴れたものだった。「いいですか? 私から一言申し上げます」 会見終了間際、福田氏は突然、手元に用意した文書を一気に読み上げた。「年金の未加入、未納の問題があったことが判明し、政治に対する信頼を失ったことは慙愧に堪えない」「私の対応の不手際で内閣のスポークスマンとして政治不信を増幅したことをおわび申し上げる」。突然の辞意表明に会見場は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。

カテゴリ: 政治
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