去る8月2日にオバマ米大統領が債務上限の引き上げ法案に署名し、同法が成立した。デフォルト(債務不履行)という最悪の事態は辛うじて回避されたが、そこに至る道のりは米国の今後にかなりの不安を抱かせるものだった。 そもそも債務上限はこれまでほぼ自動的に引き上げられており、政争の具にはされてこなかった。いわば暗黙のルールだ。しかも、今回、歳出削減策とのパッケージで論じられたため、来年秋の大統領選挙を睨んだ力学も働き、党派対立や党内対立が熾烈さを極めた。 デフォルトが刻一刻と現実味を増すさまは、まるで大国の崩壊を描いたハリウッド映画を見ているようだった。当初は「何とかなるだろう」と楽観視していた米国人の友人や知人からのメールにも危機感や怒りが滲み出るようになった。
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