行き先のない旅 (91)

スペイン「地下経済」の光と闇

執筆者:大野ゆり子 2012年8月3日
エリア: ヨーロッパ

 ここのところ、マドリッド、バルセロナに続けて行く機会があった。夫が指揮する演奏会に同行したのだが、ギリシャに代わって、今やユーロ危機の象徴となった感のあるスペイン。欧州委員会の統計EUROSTATによると、6月の失業率は24.8%、ユーロ圏で最も高いといわれ、特に25歳未満の若年層の失業率は52.7%にも上る。スペインから流れるニュースといえば、緊縮財政に反対する大規模デモや、不動産バブル後に住宅ローンを払えず、自宅を差し押さえられる市民の様子ばかりだ。正直言って、この時期にクラシックのコンサートどころではないのでは、と危惧していた。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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