告発サイトで米外交の機密情報が流出したことは、2000年以降左派政権が台頭する中で、中南米で失った影響力を回復しようとしてきたオバマ政権の中南米外交において、明らかにマイナスである。今後アメリカ外交への信頼の低下がまねく問題の大きさは計り知れないものがあろう。
だが、中南米に関しこれまで公開された情報は、アメリカ政府が発表した外交方針に照らしてみれば想定される範囲での活動内容を示すものであり、驚きは少ない。むしろ外交政策との整合性を立証するものとして評価する論調もある(例えば、12月5日付スペイン、エル・パイス紙への米フォーリン・ポリシー誌編集長モイセス・ナイム氏の寄稿)。当面の政治的余波も、チャベス大統領がクリントン国務長官の辞任を求めたぐらいで小さく、米首脳がお詫び行脚をする中で、中南米諸国側も顔をしかめながらも慎重に対応しているというのが現状だ。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン