エジプトが学ぶべきトルコの経験――公正発展党(AKP)とムスリム同胞団

執筆者:山内昌之 2011年2月16日
エリア: ヨーロッパ 中東
ムスリム同胞団はAKPのような「現実感覚」をもてるか(エルドアン・トルコ首相)(c)AFP=時事
ムスリム同胞団はAKPのような「現実感覚」をもてるか(エルドアン・トルコ首相)(c)AFP=時事

 エジプトはじめアラブの国々の政情激変のなかで、その解決のモデルをトルコに求める動きが出ている。確かに、アラブだけでなく民主化を渇望するイスラム世界にとって、独特な世俗主義と議会制民主主義を成功させたトルコの歴史的経験は参考になるかもしれない。しかし、問題は2つに分けて考えねばならない。第1は、イスラム国家たるオスマン帝国の解体によるトルコ共和国の成立を正当化する世俗主義(ライクリッキ)の評価にかかわる問題である。第2は、イスラム主義から出発しながら政権を掌握した公正発展党(AKP)の議会制民主主義への適合問題である。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
山内昌之(やまうちまさゆき) 1947年生れ。東京大学学術博士。エジプト・カイロ大学客員助教授、米ハーバード大学客員研究員などを経て現職。イスラーム地域研究と国際関係史を専門とし、文化審議会、外務人事審議会、日本アラブ対話フォーラム、日中と日韓の歴史共同研究委員会などの委員としても活動。最新刊『歴史家の羅針盤』(みすず書房)ほか、『嫉妬の世界史』(新潮新書)、『歴史と外交』(中央公論新社)、『歴史のなかの未来』(新潮選書)など著書多数。2006年、紫綬褒章を受章。
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