ポーレンティーとロムニーの正式出馬表明の狙い

執筆者:足立正彦 2011年5月31日
タグ: アメリカ
エリア: 北米

 共和党エスタブリッシュメントの期待を集めていたミッチ・ダニエルズ氏の不出馬表明を受け(5月23日付当欄参照)、2012年共和党大統領候補指名獲得争いへ向け、共和党の有力政治家二人が動き出した。二人の有力政治家とは、ティム・ポーレンティー前ミネソタ州知事とミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事である。二人の正式出馬表明には、共和党大統領候補選出プロセスの序盤で党員集会や予備選挙を実施する「序盤州」における戦略を垣間見ることができる。

 今年1月までミネソタ州知事を2期8年務めたポーレンティーは、ダニエルズの不出馬表明の翌日の今月23日、アイオワ州デモインで支持者を前にして共和党大統領候補指名争いへの出馬を正式に表明した。全米での知名度が低いポーレンティーは2012年共和党大統領候補指名獲得争いの幕開けとなる、来年2月6日に行われるアイオワ州党員集会で何としても勝利しなければならない立場にある。同党員集会で勝利して「弾み」をつけて自らの存在を全米の有権者に強烈に印象付けることが共和党大統領候補指名獲得に向けて優位な戦いを展開するうえで不可欠となるためである。そのため、ポーレンティーは「アイオワ重視」を鮮明にしており、正式出馬表明を地元ミネソタ州ではなく、アイオワ州で行った。ポーレンティーはミネソタ州知事在任中から2012年共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬を示唆するとともに、過去2年間、頻繁にミネソタ州の隣接州であるアイオワ入りしていた。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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