ハンガリーの首都ブダペストは「ドナウの真珠」と呼ばれ、夜ともなれば、ライトアップされた「鎖橋」が何とも幻想的な姿を古都の空に浮かび上がらせます。ところが、そんな中欧屈指の「麗しの都」はこのところ、物情騒然といった雰囲気に包まれています。右派のビクトル・オルバン首相(48)が制定を推進した新憲法が1月1日に施行されましたが、翌2日、「オルバン独裁をもたらす新憲法を許すな」と叫ぶ3万人の大規模なデモが市中心部で繰り広げられました。
こうした政情不安も影響し、欧米格付け会社フィッチ・レーティングスは1月5日、ハンガリー国債の格付けを一段階下げ、投機的水準としました。そしてこの日、ハンガリー通貨フォリントは、対ユーロで最安値を記録し、国債入札も不調に終わりました。米スタンダード・アンド・プアーズやムーディーズも既にハンガリーを投機的水準に引き下げており、かつて中東欧改革国の「優等生」の名をほしいままにしていたハンガリーは今や中欧の、そして欧州連合(EU)の「大問題児」に転落してしまいました。
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