中国のアフリカ進出に影を落とす「クイーンズウエイ88グループ」

 7月19日に北京の人民大会堂で開かれた「中国アフリカ協力フォーラム」の第5回閣僚級会議で、中国の胡錦濤国家主席は今後3年間で総額200億ドルの融資をアフリカに供与すると表明し、日米欧などのドナーを驚かせた。
 2008年5月に日本政府が横浜で開催した「第4回アフリカ開発会議(TICAD4)」で、福田康夫首相(当時)が2012年までの4年間で供与を約束した円借款総額は40億ドルだった。今回の中国の援助がいかに巨額であるかが分かる。
 2011年版の『中国対外援助白書』を見ると、2009年までの中国の対外援助総額約2563億元(累計、約3兆1000億円)のうち、アフリカ向け援助は45.7%を占め、世界の地域別では「アジア向け」を凌いで最も多かった。中国がアフリカ支援にかける意気込みの強さがうかがえる。

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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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