ロシアに最高意思決定機関「政治局」が誕生

執筆者:名越健郎 2012年10月10日
エリア: ヨーロッパ

 モスクワでは、政治指導体制を示す「タンデム」という言葉が消え、代わって「政治局」が語られていた。メドベージェフ大統領、プーチン首相という二頭体制は、プーチン氏の大統領就任によって消滅。新たにプーチン大統領を中心に、旧ソ連共産党政治局に似た一握りのグループによるコングロマリットが機能しているとの見立てだ。

 政治評論家のエブゲニー・ミンチェンコ氏らのグループが8月、政界・ビジネス界のエリート60人以上へのアンケートを基に発表した報告書でこの分析を伝えた。筆者らはモスクワでミンチェンコ氏と食事を共にしたが、同氏は「プーチンは側近からなる個人的な指導機関を作った。共産党政治局に似たこの組織で、プーチンは派閥間のバランスを取り、モデレーターの役割を果たしている」などと話した。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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