“危険水位”に達してしまったイラン核開発

英仏独の“説得”には応じてみせたものの、本当に核開発が止まるかは疑わしい。結局はイランに時間稼ぎさせるだけ――[ウィーン発]イランの核兵器開発疑惑が新たな段階にさしかかってきた。国際原子力機関(IAEA)は、十一月二十五日から始まる定例理事会で再びイラン問題を協議する。英仏独の働きかけを受け、イランは核兵器製造にも転用可能なウラン濃縮活動の一時的な停止を表明したが、核開発全般については意欲を完全には捨てていない。対イラン強硬派の米国は、疑いの目を向け続け、イラン核問題を国連安全保障理事会に付託すべきだと主張している。しかしながら、協議の場がIAEAから安保理に移っても移らなくても、関係国のそれぞれの事情や思惑から、イラン核問題の膠着は続く公算が大きい。そして、長引く膠着の先に「最悪の展開」が見え隠れし始めた。

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