80時間世界一周 (9)

中国人満載バスのたどり着いた先は?

執筆者:竹田いさみ 2005年5月号
エリア: アジア

 中国とベトナムの国境。溢れるほどの荷物を積み込んだ大型トラックが、ベトナム側検問所で行列を作っている。検問所といっても、積荷のチェックはさほど厳しくなさそうだ。運転手は通行証らしき書類を見せ、挨拶をして通過していく。中越間の国境貿易は限りなく自由に行なわれているようだ。 こうしたトラックに混じって、小型や中型の観光バスが行儀よく並んでいるのに気づく。日本でよく目にする二階建ての観光バスほど大型ではない。その国境地帯は、「辺鄙な」という形容詞がピッタリだ。どうしてこんなところに観光バスが押し寄せているのかと、素朴な疑問を抱いた。疑問が素朴であればあるほど、その答えを知らないままベトナムを後にしたりできない性分だ。予定を変更し、中国人を満載した観光バスのあとを追ってみることにした。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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