国際人のための日本古代史 (42)

古代の「情報戦」と「ネットワーク」

執筆者:関裕二 2013年9月12日
タグ: 中国 韓国 日本
エリア: アジア

 誇張やウソも、繰り返し唱え続ければ、やがて、それが真実になり、歴史になってしまう。これを放置しておけば、いちじるしく国益を損ねるし、一度定まってしまったイメージを覆すには、想像以上の労力を要する。「情報の力」を侮ってはなるまい。

日本書紀と壬申の乱

 情報操作や情報戦は、今に始まったことではない。古代でも、「情報」は、大きな意味を持っていた。たとえば歴史書(正史)の編纂も、極論すれば、情報操作を最大の目的としていた。

 中国では、新王朝が旧王朝の腐敗ぶりを糾弾し、世直しの正当性を証明しようとした。新王朝の正義を主張するために、誇張、改竄、捏造は、当然行なわれ、政権交代、王朝交代の正義が唱えられた。「勝てば官軍負ければ賊軍」である。

この記事だけをYahoo!ニュースで読む>>
カテゴリ: カルチャー
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top