エルバラダイ三選が意味するアメリカのさらなるIAEA離れ

執筆者:北村隼郎 2005年8月号
エリア: 北米

「核の番人」こと国際原子力機関(IAEA)で、モハメド・エルバラダイ事務局長(六三)=エジプト出身=の三選が六月に決まった。揺らぐ核拡散防止体制の立て直しに意気込むエルバラダイ氏だが、これまで同氏の続投に反対してきた米国が今後、独自のアプローチによる核拡散防止に傾き、IAEAを「突き放す」構図が強まろうとしている。 ブッシュ米政権は当初、イラク・フセイン前政権の大量破壊兵器(WMD)疑惑やイラン核疑惑への取り組みをめぐって対立した経緯から、エルバラダイ氏の三選阻止に動いていた。一時は、同盟国であるオーストラリア(天然ウランの有力産出国であることからIAEAの重要メンバー国)のダウナー外相を擁立しかけたが、本人の固辞で断念せざるを得なかった。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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