プーチン氏がオバマ大統領に「倍返し」

執筆者:名越健郎 2013年10月17日
エリア: 北米 ヨーロッパ

 戦後の米ソ・米露関係は、最高首脳同士のケミストリー(相性)に左右される部分が多かったが、オバマ大統領とプーチン大統領の組み合わせは冷戦後最悪といえよう。シリアの化学兵器使用問題でプーチン大統領がオバマ大統領に恥をかかせる形で外交的勝利を収めた背景には、プーチン大統領を批判した8月初めのオバマ発言に報復する「倍返し」の思惑が読み取れる。

 オバマ大統領は9月のモスクワでの首脳会談中止を発表した直後の8月9日の記者会見で、米露関係の質問に、「最初の4年間はメドベージェフ大統領と仕事をし、新戦略兵器削減条約(START)など多くの進展を遂げた。プーチン氏が大統領になった後、ロシア側で反米的な言動が増えた。ロシアは古くさい冷戦時代の固定観念に陥ってしまった。……この数カ月、シリアや人権問題で対立が生じている」とプーチン大統領の冷戦思考を批判。「個人的関係は悪くはない。彼は会談でしばしば、遠慮せずぶっきらぼうだが、建設的な時もある。彼は猫背になり、教室のすみで退屈そうにする子供のようなそぶりを見せることもある」と述べた。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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