「原発再稼働」で「イエスマン」が選ばれた経団連会長人事

執筆者:安西巧 2014年1月20日
エリア: アジア
 一般には知名度が低い次期会長の榊原氏 (C)時事
一般には知名度が低い次期会長の榊原氏 (C)時事

 1月9日、経団連の次期会長(13代目)が内定した。本命視されていた筆頭副会長(日立製作所会長)の川村隆(74 )が再三にわたる就任要請を固辞。今年6月の総会で退任する現会長(12代目)の米倉弘昌(76)が指名された4年前よりもさらに 人選は難航した。結局、白羽の矢が立ったのは、これまで会長候補としてリストアップされたこともなく、経済マスコミ以外では無名に近い東レ会長の榊原定征(70)だった。安倍晋三首相(59)との不仲などで早々にレームダック化した米倉の乏しい人脈や求心力もさることながら、弱体化に歯止めが掛からない経団連の現政権に対する過剰な気遣いが、「財界総理」の人事を混迷させる一因になった。

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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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