「絶対にペイしない」JR東海「リニア計画」の暗雲

執筆者:安西巧 2014年6月12日
エリア: アジア
 平成の”バカ査定”か!? (C)EPA=時事
平成の”バカ査定”か!? (C)EPA=時事

 1度走り出したら止まらない――。

 公共事業の失敗を戒めるそんな警句が当てはまるプロジェクトがまた1つ出てきた。2027年に品川-名古屋間、45年に名古屋-新大阪間の開通を目指すリニア中央新幹線。厳密には(今のところ)公共事業ではなく、JR東海が総額9兆300億円の建設費を自己負担で賄う意向なのだが、関西の建設族議員を中心に大阪までの同時開業を求める声が続出し、ここに来て「名阪間の建設費は一時的に国が立て替え、将来JR東海に譲渡する」という仰天プランが浮上している。一時立て替えによる国の負担は最大1兆8000億円。ところが、このリニア計画についてはJR東海前社長(現会長)の山田佳臣(65)が、昨年9月の記者会見で「絶対にペイしない」と断言した経緯がある。“赤字必至”とお墨付きのプロジェクトになぜ巨額の血税が注ぎ込まれようとしているのか。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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