国際人のための日本古代史 (52)

古代から「複雑怪奇」だった朝鮮半島との外交関係

執筆者:関裕二 2014年7月8日
エリア: アジア

 外交政策はめまぐるしく移ろうものだ。昨日の友は今日の敵ということが、しばしば起こる。

 古代の朝鮮半島とヤマト政権の関係も、複雑怪奇だった。朝鮮半島は、4世紀末から7世紀にかけて混乱が続いた。騎馬民族国家高句麗の南下、中国王朝の領土欲に苦しみ、隣国同士の抗争に明け暮れたのだ。半島国家が抱える地勢上の悲しい宿命であった。

 もっとも、朝鮮半島南部の国々は、手をこまねいていたわけではない。競って日本でロビー活動をくり広げ、ヤマト政権も、これに応えた。5世紀には、高句麗の南下を阻止すべく、大軍を朝鮮半島に送り込んでいる。この時代、朝鮮半島から先進の文物と技術者が日本に流れ込んだのは、「半島での優位性を保つには日本を味方につける必要がある」と考えたからだろう。

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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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