始まった「福島一揆」――東日本大震災から3年半

執筆者:吉野源太郎 2014年9月11日
エリア: アジア

 漆黒の闇。車のライトに浮かび上がる曲がりくねった道路の先に、時折、野生の狐の目が黄色く光る。

 福島県郡山市から南相馬市に向かう途中、予定の遅れを取り戻そうと、幹線道路から山中の枝道に入ったのが間違いの元だった。以前、日中に何回かは通ったことのあるルートだったが、夜は全く別の世界。レンタカーのナビゲーション・システム に最新情報が入っていなかったこともあり、行く先々で交通止めに出くわす 。東京電力福島第1原発の事故後に原発に近い地域一帯にかけられた避難指示や居住制限等の指定に伴う交通規制である。

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執筆者プロフィール
吉野源太郎(よしのげんたろう) ジャーナリスト。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月から2016年5月まで日本経済研究センター客員研究員。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数。
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