共和党「上下両院支配」後に問われる「責任」

執筆者:足立正彦 2014年10月30日
エリア: 北米

 今回の米国中間選挙の最大の焦点は、上院での多数党が引き続き民主党となるのか、あるいは、共和党が8年ぶりに多数党に復帰して上下両院ともに支配することができるのか否かである。その点について筆者は、上院で引き続き民主党が多数党の立場を維持する一方、下院では共和党が多数党の立場を維持し、2015年1月に招集される第114議会でも上下両院の「ねじれ現象」が続く可能性は低いと考えている。すなわち、上下両院ともに共和党が支配する政治状況を想定している。

 現在のような米議会の「ねじれ現象」が解消された場合、第113議会と著しく異なる点は、ハリー・リード民主党上院院内総務(ネヴァダ州選出)とジョン・ベイナー下院議長(共和党、オハイオ州第8区選出)との鞘当てや責任のなすり合いといった状況が減少。上下両院は共和党が一定の責任を持ってオバマ民主党政権と対峙する状況が生じることである。従来までの与野党対立からもたらされる「膠着状態」の下では、上院民主党指導部と下院共和党指導部が互いに相手を批判しあう「イタチごっこ」が際限なく続けられていた。だが、そうした状況にも終止符が打たれ、米議会は上下両院とも共和党主導でオバマ政権と立法面で協議を迫られることになる。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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