インテリジェンス・ナウ

イラクの情報機関が分立・暗闘 背後にある米‐イラン情報戦争

執筆者:春名幹男 2007年10月号
タグ: イラン CIA シリア
エリア: 中東 北米

 夏休み最後の休日、九月三日のレーバーデーにブッシュ米大統領がイラク中西部アンバル州のアルアサド米軍基地を電撃訪問した。 前週、大統領はペンタゴンに国防総省首脳らを集め、新しいイラク戦略を承認した、と伝えられる。それまでは、マリキ首相らシーア派の多数派勢力によるイラク国内の治安掌握を黙認していたが、今後は少数派のスンニ派勢力を支援し治安強化の役割を負わせる、という戦略だ。 訪問先のアンバル州はまさにスンニ派穏健勢力の拠点。大統領は、彼らがアル・カエダ武装勢力を掃討し、治安を改善する成果を挙げた、とぶち上げるのが訪問の目的だった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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