インテリジェンス・ナウ

米大統領選当日「ロシアのサイバー攻撃」はあるか:NSAの反撃も

執筆者:春名幹男 2016年9月21日
エリア: 北米 ヨーロッパ

 11月8日の投票日まで50日を切った米大統領選挙。その選挙当日、米政府が最も恐れているのは、各州の投票・集計システムに対して、ロシア情報機関がサイバー攻撃をかける、という悪夢のような事態である。
 実は、既に米国の一部の州選挙管理委員会が今年6月以来、サイバー攻撃の被害を受けていることが分かった。連邦捜査局(FBI)の国家安全保障部門はこのほど、各州に対して発した「フラッシュアラート(警戒速報)」で、これらの被害を報告。被害状況や攻撃の技術的特徴などを伝達したという。
 選挙当日、投票結果は各投票所から郡の選管、さらに州選管に報告という形で、集計システムを通じてまとめられる。そのシステムがサイバー攻撃を受けた場合、正しい選挙結果が報告されず、米民主主義の根幹が揺らぐ。米国には、正常に大統領選挙を実行するための手だてがあるだろうか。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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