タイ政治混乱の裏面で蠢いた「メディア王」の末路

執筆者:樋泉克夫 2016年10月11日
エリア: アジア
波乱万丈の生涯を歩んだ「メディア王」(C)AFP=時事

 

 8月末から9月初めにかけてバンコクを歩いた。

 1年前のバンコクでは、王妃誕生日を祝い、先導する皇太子にプラユット首相以下、閣僚、国軍幹部など“文武百官”が従う自転車パレードが華やかに行われている。その翌日にエラワン廟爆破事件が発生したこともあり、街のそこここにはそれなりの緊張感が感じられた。だが、今年は違った。王妃誕生日祝賀の8月12日と前日の11日に南タイで連続8件の爆破テロ事件が発生したというのに、地下鉄、高架鉄道、さらには巨大ショッピング・モールでも、去年ほどの警戒態勢すらみられない。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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