毎週一回、米ニューヨーク市内にある大手投資ファンド、ブラックストーン・グループのもとに、北京から一本の電話が入る。電話の主は中国政府系ファンド、中国投資有限責任公司(CIC)の海外投資担当者。会話の内容は「米国景気をどう見るのか」「サブプライム問題の行方は」とマクロ経済が中心で、たわいのないものだ。 昨年五月、中国政府はブラックストーンの上場に合わせる格好で三十億ドル出資している。ブラックストーンは上場後に四割近く株価を下げているから、出資で十億ドル以上の損失をこうむったはずだ。だが、CICの担当者は投資先に当たったりはしない。「全米最強とされるブラックストーンに接近することで様々な情報を入手し、次のディールのチャンスをうかがうのが彼らの戦略」(ブラックストーン関係者)だからだ。
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