経済の頭で考えたこと (87)

「習近平暴風」下でさらに強まる「在外中国人」の危機感

執筆者:田中直毅 2016年12月28日
エリア: アジア
在外中国人は習近平氏の一挙手一投足を注視せざるを得ない (C)AFP=時事

 在外中国人(中国版ディアスポラ)にとって2016年の年の瀬は相当にしんどいといってよい。それは、習近平体制が排外主義とでも表現する以外にない対応を続けており、年明けは更にその姿勢が高じそうだからだ。在外中国人が体験してきた第2次大戦後だけを抜き出した歴史をとってみても、北京に「龍のリズム」(中国独自の認識に発する対外関与姿勢)が顕著になることは、現地政府との微妙な距離感のなかで仕事をしている華僑にとって、決して好運を呼び込むものではないことは明らかだ。彼らは祈るような気持ちで北京の方向を見つめることになる。

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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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