ニューヨークはマンハッタンが、木造船の基地だった頃の話である。ダイヤモンド・ジムの渾名で呼ばれる鉄道成金がいた。
ジムはネクタイ・ピン、カフス・ボタン、ワイシャツやジャケットのボタン、そのすべてをダイヤモンドにした。彼はキラキラ輝きながらニューヨークの大道を闊歩した。
道を行く人は立ち止まって眺めた。スリの心得ある者はわざとぶつかり、ダイヤを引きちぎって逃げた。
警察は「犯罪を奨励するのと同じだ、止めてくれ」と頼んだがジムは意に介さなかった。カネなら、なんぼでも入ってきたからである。
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