【ブックハンティング】「ポピュリズム社会」への歴史の警鐘

 現代政治を語るうえで、「ポピュリズム」はもはや欠かせない用語となった感がある。その手法や理念を体現する典型的なポピュリストとして、米国の大統領ドナルド・トランプ、フランスの右翼「国民戦線」党首マリーヌ・ルペン、英国の欧州連合(EU)離脱を扇動した「連合王国独立党」(UKIP)元党首ナイジェル・ファラージといった政治家が挙げられる点も、コンセンサスが築かれてきた。ただ、言葉の定義や位置づけを巡っては、専門家の間でも依然見解がわかれている。

 最近の政治学の研究は、ポピュリズムの危険性に注目する見方と、その可能性を評価する見方とに、次第にわかれてきたようにみえる。

カテゴリ: 社会 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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