五月二―三日にミャンマーを直撃したサイクロン「ナルギス」は、死者・行方不明者十三万人、被災者二百五十万人という大被害をもたらした。同二十五日に旧首都ヤンゴンで開かれたミャンマー支援国会議(国連・東南アジア諸国連合の共催)で、ミャンマー軍事政権は復興支援予算に百六億七千万ドルを要請したが、国連の試算額は二億百万ドルにとどまった。要請の五十分の一以下である。冷たい反応にも見えるが、ここには外貨レートのマジックがある。 現地通貨チャットは、政府レートが一米ドル=約六チャットなのに対して、市場レートは現在、千百三十五チャット。政府は市場レートの二百倍という法外なレートを設定している。これは、一本一円のバナナが政府レートだと二百円になる勘定だ。当然、国連筋はこの二重レートを念頭に、軍政を牽制しつつ、相手のメンツも少しは立てて、実勢よりやや割り増しした金額を提示したとみてよい。
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