医療崩壊 (8)

「医療再生」には「混合診療」規制を撤廃せよ

執筆者:上昌広 2018年1月10日
エリア: 北米 アジア
東京女子医大病院のような「有名」病院でも、内実は大赤字(同病院HPより)

 

 2018年が明けた。今年、医療はどうなるだろう。私は医療崩壊が加速すると考えている。その理由は、我が国の医療制度が高齢化・情報化・グローバル化した世界に適合しなくなっているからだ。

 我が国の医療は、官僚がグランドデザインを描き、価格統制と供給量の規制を通じて現場を統制する。手足となるのは、医師会や大学医局だ。高度成長期、潤沢な補助金と高価な診療報酬に支えられ、医療機関の経営は安泰だった。典型的な護送船団方式だった。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top